月光

月光 : 小久保和雄

ある秋の晩
群雲が月を隠す頃
喧騒の大都市を停電が襲う
都市機能のほぼすべてを失い
漆黒の闇が支配する
絶叫と静寂が支配し
不協和音が生じる

欲望のおもむくまま
利便性・快適性を追求した果の
虚飾に満ちた大都市

しばらくして群雲が去り
不気味な青白い満月が
辺りを冷めたく照らす
廃墟と化した大都市の
荒涼たる風景を示すかのように

（書き下ろし作品）

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